ヒガンバナ(彼岸花)について
ヒガンバナ(彼岸花)は古の時代に中国より伝来されたと言われる史前帰化植物。
毎年九月の中旬頃に真っ赤な花を咲かせます(希に白)。
球根性で、開花後に線形の細い葉をロゼット状に出すため花と葉を同時に見ることはできません。
葉は春には枯れてしまい、また花を咲かせるまでは地表には何も顔を出しません。
なお、本種は有毒で、モグラやネズミなどに田を荒らされるのを防ぐため、あぜ道などに多く植えられました。
毒性について
全草が有毒で、アルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリンなど)を多く含みます。
誤って摂取した場合、吐き気や下痢などを引き起こし、最悪の場合に神経麻痺などにより死に至る事もあるようです。
なお、致死量は10gほどとの事。
救荒植物としての利用
彼岸花は球根にデンプンを含んでいるため、毒を洗い流すことで食用にもなります。昔は飢饉に備えての救荒食として利用されていたそうです。
食べるには球根をしっかりすり潰し、何度も何度も水にさらして毒を洗い流すなどの作業が必要で、一般的には食べない方が無難です。
なお、詳細は不明ですが明治時代〜昭和前期にはデンプンを取り出す専門の会社もあったようです。
名前の由来
- 「彼岸花」
- お彼岸の時期に花が咲く事から(誤って食してしまうと「彼岸(死)」しかないとの異説あり)
- 「曼珠沙華」
- 「法華経」が説かれる際に天から降ってくる「天上の花 曼珠沙華」から。
もともとは架空の植物から名前をとったようです。 - 「葉見ず花見ず」
- 花と葉が同時期に出ない事からの中から
- 色んな異名
- 彼岸花は不吉と忌み嫌われてきた為、子供が誤って口にしない為などの理由から多くの異名を持つ。
死人花、地獄花、幽霊花、剃刀花、狐花、捨子花、天蓋花、ピカドンバナ、アタマイタイ、アメフラシグサ、オニババア、オバケバナ、オヤシネコシネ。シガンバナ、ドクバナ、ニガニガバナ、ホトケサンバナ、ンマゼバナなど
近縁種
- 鍾馗水仙(ショウキズイセン)
- 彼岸花に若干遅れて咲く黄色い花。
花弁が彼岸花より肉厚で、やや波打った形をしています。 - 白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ)
- 彼岸花と鍾馗水仙の交配種と言われる、彼岸花に良く似た白い花。
基本的には色は白ですが、黄色掛かっていたり、花弁がやや波打ったりと、個体差があります。