水仙(スイセン)について
スイセン(水仙)は地中海沿岸地方の原産で、室町時代から安土桃山時代の間(平安時代末期などの説もあり)に日本に渡来してきた史前帰化植物です。
花にあるほのかに香りやその愛らしい姿から、古より好まれてきました。
原種は50種ほどで、園芸品種は1万種以上あると言われます。
12月頃から4月頃までの長い期間に開花しますが、寒い時期から咲く早咲きの種は「日本水仙」、暖かい時期に咲く遅咲きの種は「西洋水仙」が多いようです。
名前の由来
- 和名「水仙」
- 古代中国では水仙は水辺を好んで繁茂しており、そういった植物を「水の仙人」と呼んだと言われます。
そこから「水仙」を音読みしたものが日本での名称となったそうです。
なお、なぜ「仙人」なのかと言うと、綺麗な花の姿とその芳香(ホウコウ)がまるで「仙人」のようだ、との事 - 別名「雪中花(セッチュウカ)」
- 雪の中から春の訪れを告げるため
- 英名「Narcissus(ナルキッソス)」
-
ギリシャ神話に登場する人物「ナルキッソス」から。
彼が亡くなった後、そこに水仙が咲いたという伝説から
毒性について
なお、本種は全草が有毒です。毒性はリコリンやシュウ酸カルシウムと呼ばれるもので致死量は10gほど。
特に球根などのに多く毒性を持ち、韮(ニラ)などと誤って食してしまい死亡した方もいるそうですので、注意が必要です。
ニラとの見分け方
- 葉で見分ける
- 韮(ニラ)の葉は臭いが強いが、水仙の葉は無臭
- 根か球根か
- 韮はヒゲ根だが、水仙は球根がある
- 水仙は韮より太い
- 韮の中に水仙が混ざって咲いている場合が希にあります。
よって、群れの中に際立って太いものが見つかった際、採るのをやめておきましょう。
主な種類
一口に水仙といっても、沢山の種類があります。
国内で見られる水仙では定番の「日本水仙」、前者に比べ大輪のラッパ水仙、色鮮やかな口紅水仙など。
下記で、野生種や園芸種などで多く見られる水仙の種類について解説してまいます。
- 日本水仙
- 国内でもっともよく見られる種で、毎年12月頃から自生します。
花は房咲き(一本の茎に花が複数付く)、花色は白と黄色があり、花の大きさは3cm〜5cmほどです。- 房咲き水仙(タゼッタ水仙)
-
上記のとおり、一本の茎に沢山花が咲く水仙の総称です。花はほのかに香り、日本には明治以降に導入されたと言われます。
主な品種は日本水仙、日本水仙に似ているが副花冠の白い「ペーパーホワイト」、日本水仙に良く似た黄色い花の「グランドソレドール」など
- ラッパ水仙
- 花の中央の副花冠(コロナ)の長さが花被片(花弁)と同じ長さかそれ以上に長い水仙です。
花は日本水仙より大きめで、一本の茎に1つの花が咲きます。 - 大杯水仙(タイハイスイセン)
- 副花冠の長さが花被片(花弁)の1/3以上で、花被片より短い水仙です。ラッパ水仙と同じで一茎一花です。
- 小杯水仙(ショウハイスイセン)
- 副花冠の長さが花被片(花弁)の1/3未満の水仙です。ラッパ水仙と同じで一茎一花で、副花冠の周りに色が付く口紅水仙も、これに含まれます。
- 八重咲き水仙
- 名称のとおり、八重咲きの水仙です。ただし花弁全体ではなく、副花冠だけが八重咲きになっている独特の形状です。
野生した水仙にも多く見られます。 - バタフライ水仙(スプリットコロナ水仙)
- とても大きな副花冠(コロナ)に深い切れ込みが入る品種。
色どりや形状などとても豪華な花が多いです。
地域の花
イギリスの国花、福井県の県花